本当にそれでいいですか?
側にいない方が隆也の本音が聞きやすい。
いつもの威張り散らした隆也の姿が見られると思ったから。
それをお義母さんにも知ってもらいたかった。
お義母さん自信もそれを望んでくれたのだ。
「いったいこれはどういうことだ!聞いてないぞ!おい、愛菜恵!!」
隆也が慌てて立ち上がる。
「初めまして奥様から依頼された弁護士の葛西といいます。これから奥様の代理人として慰謝料とお子さまの親権の話をさせて頂きますのでもう一度座って頂けますか?」
葛西さんがさっと前に出て私の代わりに丁寧に言葉を向ける。
狼狽える隆也とは反対に冷静に指示をする葛西さん。
葛西さんは隆也の向かいに座った。
そしてお義母さんは強張った顔をしながら莉奈の向かいに座る。
「えっ、へ?慰謝料って私も!?隆也さんだけじゃなくてっ?」
「当たり前です。先ほどあなたも隆也さんとの不倫を認められましたよね?」
「いやそれは…でも、私は妊娠してるんですよ!?」
「だからその慰謝料です。あなたの妊娠こそこちらの奥様に対しての精神的苦痛をお金で填補するものなのですよ。しかも妊娠という事実は平穏な夫婦関係を破壊しうる悪質な行為と考えられます。一般的な不倫に付け加え、慰謝料を増額させる理由にさえなりえます」
「ば、倍増ってそんな…、でもだって私には子供が…私だって被害者じゃ…」
意味が分からない。この女は妊娠したら何もかもが許されると思ってるのだろうか?
しかも自分が被害者だと思ってる。