本当にそれでいいですか?
「は?エステサロンだと?お前が??」
顔がひくひくと歪む。
心底怪しむ顔を向けられたがそんなの知らない。どうしてお前にそんなことができるんだと言わんばかりの反応と突き刺さる視線に思わずやれやれと肩をすくませる。
「は、まさかあの時の慰謝料で建てたのか!?あの時俺らから巻き上げたあのお金でお前…」
「…は?バカなの?あんなはした金でサロンなんてオープンできるわけないでしょ?あれっぽっちのお金でお店を持てるほどそんなに世の中甘くないわ」
あの後振り込まれたたのは確か二人合わせて400万ちょっとだった。
「だったら何でお前なんかが…」
隆也の言い分はよく分かる。
誰がどう見たってあの時生活に疲れ果てた私がこんなにも変われるだなんて想像はつかないだろう。
だけどあの時、私にはこうなる未来がしっかりと見えていた。確かに勝算があったのだ。
「そうね。強いていうならあなたと別れて運が回ってきたってところかしら?しかも最強の運がね」
だが本当のことなんて言うわけがない。死んでも言ってやるもんですか。「いいから言えよ!まさか男か!?それとも宝くじでも当たったのかよ!?」と悔しそうに叫ぶこの男には絶対に。
「…たくっ、煩いわね。だからあの時最後に聞いたでしょ?本当にそれでいいですかって?」
私と離婚してもいいのかと最後にしっかりと聞いたのだ。いや聞いてあげたのに…