本当にそれでいいですか?

「え、あ、うん」と戸惑いながら、でも嬉しそうに最後受け取ってくれた姿が純粋に可愛かった。
なにせ子供に罪はない。そしてそんなやり取りを見た莉奈は子供の手を取ると私より先に逃げるようこの場を後にする。

隆也の制止も聞かずさっさと帰ってしまった。

置いてかれた隆也の慌てよう。それが何より可笑しかった。
私は最後去っていく背中に向かって「ばーか」と今まで言えなかった言葉を1人呟く。
言った直後めちゃくちゃスッキリとした。

今度こそ2度と会うことはないだろう隆也の姿を見届けながらふいに3年前のことを思い返す。

先ほど隆也が当てずっぽで言った予想は思いの外当たっていた。
何故なら本当に宝くじが当たっていたのだ。
しかも一等前後賞合わせて7億円。
当たった時はまさか!と夢のような感覚で信じられなかったが、実感が沸いてくると今まで溜め込んでいた涙が一気に溢れだした。

今までの苦労が報われた。
神様は本当にいるんだと思えた。
これまで歯を食い縛って頑張ってきた私にご褒美をくれたのだと心から感謝した。

だから離婚が成立するまでは大事に保管し、あえて換金はしなかった。
彩佳との新しい未来の生活のため、全ての手続きを終えた後で私は多額のお金を手にし、その2年後に念願だった自分のサロンを建てることに成功した。

お陰様で今じゃ経営も順調。固定のお客さんも増えており順風満帆の生活を送ることができている。

そう、何もかもがあの男と別れてから風向きがいい方向に向いている。

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