本当にそれでいいですか?

すべてズレている。
この男は自分のことしか考えていない。
自分さえ良ければ他人はどうでもいい傲慢な生き物なのだ。

それが再確認できたところで私もストンと気持ちが落ちた。
それでも怒りを感じない。
何も感じない。
所詮はもう今更の茶番劇だということ。


「なんだよその目は不服か?文句があるなら言ってみろよ」


私が黙り混んでいることで機嫌を害したらしい。
そして離婚を拒んでるとでも勘違いしたのか、ついには目を細め「ちっ」と舌打ちまで飛ばしてきた。


「お前がそんな態度をとるというなら…」


そんな時だった。狙ったかのように家のインターホンが鳴った。
一瞬会話が止まり、次の瞬間モニターに見えたのは隆也の不倫相手の女だった。
驚いたのも束の間遠慮なく上がり込んできた不倫相手のか弱い泣き声がリビングに流れ込む。
< 5 / 22 >

この作品をシェア

pagetop