本当にそれでいいですか?

それはそれでこっちからすれば見る目がない労力だと思うけど。


「おい、もういいだろ。つべこべ言ってないでさっさとお前はそこに名前をサインしろよ」


私達のやりとりが気に入らなかったのか隆也が不機嫌に口出した。
彼女の肩を抱きながら、私に向ける視線はことごとく冷ややかだ。まるで違う。

それにも彼女は機嫌をよくしたようで、隆也のことを熱い眼差しで見つめている。


「分かりました。お望み通り離婚届けにサインします」


アホらしい…
馬鹿馬鹿しくてこんな茶番は早く終わらせたい。そもそもこんな風になる前からとっくに私の気持ちは決まってる。
隆也といつ離婚してもいいように全ての準備はできている。

ただ…、一言言いたいことがあるとすれば、


「本当にそれでいいですか?」

「え?」

「本当に離婚でいいんですね?」


ボールペンを持つ手を止め、真剣な表情になる。今日一番の真剣な声を向けた。これは最終確認だ。今までの思いを込めた最終決別。
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