ONLY YOU~身代わり見合い結婚は履行で。クールな上司は過保護な旦那様~
滞りなく、挙式を終えた俺たちを披露宴会場で待つのは両家合わせて六百人の招待客。

会場へと向かいながら俺はだんだん緊張感で体を硬くした。
「今更ながら緊張して来たよ…穂香」
「徹也さんには全く緊張感が見らせませんよ」

「ポーカーフェイスを装っているだけだ…」

「・・・私なんて前日の夜から緊張してましたよ…おかげで一睡も眠らませんでした」

「それは困ったな…」
「えっ?」

俺の言葉に目をキョトンさせる穂香。

「今夜も眠らせないつもりなのに…」

「徹也さん!?」

他の人には聞こえないような声で穂香に囁いた。

「こんな時に言わなくても…本当に徹也さん意地悪ですね…」

「上司の時から意地悪だって知っていただろ?」

「人使いは荒いと思っていましたが…意地悪だとは思っていませんでしたよ…」

「そっか…」

穂香と話をしている間に緊張感も解れて来た。

目の前に見える大広間の大きな扉を見つめ、俺と穂香は深呼吸した。


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