ONLY YOU~身代わり見合い結婚は履行で。クールな上司は過保護な旦那様~
「俺では不満か?有村もやはり、司がいいのか?」

課長と副頭取の令息・司様は次期頭取の椅子を争う中。
行内も二手に分かれていた。

でも、女性行員たちに人気があるのは司様。

課長は冷たい人で有名だから皆、敬遠しがち。

「いえ…別に」

「なら、俺でいいよな」

「課長こそ、私でいいんですか?何のメリットもないですよ」

「昨日も言っただろ?母さんを笑顔にした。それだけで十分だ」

「・・・じゃ夫人を笑顔に出来たら、誰でもいいって事ですよね」

「有村でなきゃいけない」

「その理由は?」

「部下として非常に有能だし…昨日の君の振袖姿にはドキドキさせられた。それに昨日も言ったぞ。妻となる女性には優しくすると」

「えっ!?あ…」
今まで、上司だと思っていた男性に甘い言葉を言われ、私はリアクションに困った。

どう切り返したいらいいのか迷い、この場から逃げようと踵を返す。

「課長…失礼します」

「おいっ!?待てっ…有村」

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