ONLY YOU~身代わり見合い結婚は履行で。クールな上司は過保護な旦那様~
「あれから・・・文子とは別れたんだ。穂香」
文子とは本命の彼女の名前。

「どうだ?もう一度、俺とやり直さないか?」
「有村。待たせたな…」

課長が急ぎ足で私の元に来た。

「課長…」

「彼は誰だ?」
「いえ…別に」

「俺は伊集院徹也だ。君は?」
「伊集院!?」

力也は課長の苗字を訊いただけで、狼狽した。

「彼女は俺の婚約者だけど、君は何者だ?」



「・・・失礼します」

と力也はそそくさに逃げてしまった。

「なんだよ!?アイツ…自己紹介してたのに…自分は名乗らないなんて失礼だな」

「彼は私の元カレです…課長」

「元カレか…へぇー…」

課長は眼鏡の奥の瞳を光らせ、彼が出て行った扉を見つめた。


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