色になる君
「は?」



「あの、今もだけどさっきも部屋で
私と話してる時、若干、ふ、不機嫌じゃないけど、そういう時があった気がして……。

もしかしたら、私距離感バグってたのかなって思ってて。」



流れでちゃっかり聞いてしまった。
は?って言ってたし、もしかして

私の思い込みなんじゃ……。



「いやごめん。完全にそれは俺が悪い。」



「え?」



「説明するにもしようがないけど、
何つーか、俺もまだ分かってなくて。」




「何を?」



「それも今言って良いのかどうか……。」



うわ、こんな真剣な顔初めて見た。



「私の距離感の問題じゃない。ってことですか???」




「それは、全く。むしろ、顔色見えないからそうなってるって分かってるから。」



「え、分かってくれてたの!?」


心が高鳴った気がした。


「感激することでもない。でもその、勘違いさせて悪かった。全く夜空は悪くないし、むしろ、俺の問題だわ。」



俺の問題……。なんだろう。
月緋君は、月緋君なりに悩みがあるのか。



「いつか、それが解決すると良いね。」



「直観だけど、もう解決してるのかもな。」
 

少し、企みを持った顔でいう月緋君。


「今すごい少年みたいな表情してた。
初めて見た!」



「お前と知り合うようになってから、顔の表情筋がいてぇわ。」



「良いことだよ。たぶん。」



なんだか、少し友達になれた気がして
嬉しかった。


心が笑ってる。不安なことなんか何もない。
そんな、私に訪れた幸せな、幸せな時間だった。


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