色になる君
「……先生。」
「え?!!うちの担任がいいの??定年間近の、おじいちゃんだよ?本気??
まぁ、確かに優しいけどさ……。ね?」
「ばかっ!春日先生……だし。」
「その恋、まだ追いかけてたの?」
千花がこういうのも無理はない。
あの時、ボロボロだった私に
しっかり向き合ってくれた春日先生。
あの状況がこの恋を生んだのかもしれないけれど、私にとってはすごく大切に思えて、
たぶんそれを春日先生も気付いてて、
それでも何も言わずに私のことを
拒絶しなかった。
春日先生が、結婚するって照れながら
言ってたあの顔を見て、
私なんかに入る余地ないし、患者だから優しくしてくれてただけなんだって
当たり前の現実に気づいて、心のどこかでは分かってたのに、分かりすぎてたのに、
いざその事実を目にすると、
心が砕かれた気分だった。
でも、春日先生のことを好きになって
後悔なんてしてない。
この恋が実ることも望んでない。
ただ、春日先生がいてくれれば
私は頑張れる。それだけでいい。