第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
先程のやり取りを少し不思議に感じたアリシアは、部屋に着いてベッドへ腰掛けながらレミリアに尋ねる。
「あの、姉様。大丈夫なんですか?」
「ん?何が?」
「エドモンド様にホットミルクを作ってくれって……」
「ああ、安心して。エド様の作るホットミルクは美味しいわよ。最初は膜が張るまで温めるものだから熱くて飲めなかったけど」
「いえ、そうじゃなくて……」
そのようなことは使用人に頼めば良いのではないか。
アリシアがそう言うと、レミリアは一瞬ポカンとしてから笑いだした。
「ふふふ。アリシアちゃん、この時間になったらもうほとんどの使用人は休んでるわよ」
「え?」
「雇ってる使用人の数、実家と比べたらだいぶ少ないなって思わなかった?」
「まあ、確かに」
アリシアはここへ来てから見かけた使用人たちを思い出す。言われてみれば同じ人ばかり見かけたような気がする。
「ハーリッツ家は子爵家といえど、他の貴族と比べてそう裕福とは言えなくてねぇ……。使用人の数も必要最低限なのよ。この広い屋敷で少ない人をそうこき使うわけにいかないから、夕食が終わった後は休ませるようにしているの」