第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
そのためエドモンドは元から自分のことは自分でするようにと育てられてきたし、レミリアも実家にいる時に比べると使用人を頼る頻度が少なくなったのだという。
「そうだったんですね。でも、この屋敷はかなり広いですよね?とてもお金がないようには見えませんよ」
一般的な貴族の屋敷と比べても、立派なものであると思う。広く、装飾は凝っていて、庭も広い。
「ああ、それもちょっとした訳があるのよ」
「どんな訳ですか?」
レミリアは話をまとめようと少し考えてから話し出す。
「確か15年くらい前の話なんだけどね」
当時、クラム家という羽振りの良い公爵家があった。
クラム家は現在のルリーマ王国の王妃の親戚筋で、そのため王家との繋がりも強かった。
しかしこの公爵は領民からの評判は芳しくなかった。弱者からも容赦なく金を取り立てていたためである。
まあその金で私腹を肥やしていたわけではなく領地の発展のために使ってはいたようだが、どちらにせよ日々の生活が苦しい庶民には好かれていなかった。
そんなある日、公爵家は大火事に見舞われた。
公爵を恨んでいた領民に放火されたのだとも、公爵を目の敵にしていた別の貴族が領民の仕業に見せかけ火をつけさせたのだとも言われているが、真相はわからない。