第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
何だ……とアリシアはほっと胸を撫で下ろしたのだが、ちょうど話の終わったタイミングで部屋の扉がノックされ、ついビクっとする。
しかしまあ何のことはない。ドアの向こうにいたのはホットミルクを持ったエドモンドだった。
「わーいエド様ありがとう!」
「いえいえ。あんまり夜更かししたらダメだからね」
「はあい。おやすみなさい」
レミリアはホットミルクの載ったトレイを受け取り、背伸びをしてエドモンドの頬にキスをする。
エドモンドは柔らかく微笑みレミリアの頭を愛おしそうに撫でると、アリシアに向かって軽く頭を下げ戻って行った。
「わああ、何か良いですね今の!」
「えっ?」
「頬っぺたにおやすみなさいのキス。仲睦まじい夫婦って感じで素敵ですよ」
「ふふ、やだ恥ずかしい」
レミリアはまたアリシアの隣に腰を下ろして、ホットミルクを手渡した。
言っていた通り熱すぎず飲みやすいミルクは、ほんのり砂糖が入っているようでとても甘い。
「アリシアちゃんは王子様とどうなの?」
「へっ?」
「あたしもイルヴィス殿下には何度かお会いしたことがあるけど、やっぱり噂通りの冷たい印象が拭えなくてね……。婚約者にどんな表情を見せるのかはとっても興味があるわ」