第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
キラキラと目を輝かせ期待する姉に、アリシアは答えに詰まる。今彼の名を出されると、ニーナからの手紙が頭にちらついてしまうのだ。
「そう、ですね。とても優しくて、意外とよく笑う方かな……。全然冷たくはないです」
「うんうん」
「お忙しい中ほぼ毎日、一緒に過ごす時間としてのティータイムを設けてくださっています。その時間をきっと大切にしてくれているんだろうなというのはとてもよく伝わってきますね。わたしが淹れたハーブティーも美味しいと言ってくれますし」
「なるほどねぇ。きっと公務で忙しい中、アリシアちゃんと過ごす時間は癒しなんでしょうね」
「……さあ、それはどうなんでしょう」
アリシアの口から、少し暗い声がこぼれる。口に出すつもりはなかったのだが、気付けば言葉にしてしまっていた。
当然、レミリアは「え?」と首をかしげる。
「違うの?」
「わかりません。彼はいずれ結婚することになるわたしとの関係は良好なものにしておいた方が得策だと判断した。だからわたしと過ごす時間を大切にして、優しく接してくれているだけなのかも……って、ちょっと思ったりもするんです」