第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
それに、優しい表情を浮かべるのはわたしに対してだけというわけでもないですし。アリシアは曇った表情のままそう続けた。
すると、今まで適度に相づちを打っていたレミリアは、突然ホットミルクのカップをトレイに戻してアリシアの背中を叩いた。
「アリシアちゃん、それはもしかしてあなたが今日ずっと暗い顔をしていた原因と何か関係がある話なんじゃない?お姉様に詳しく話してみなさい」
「えっ?暗い顔?」
「何よ無自覚だったの?」
無自覚だった。
もしかして、今日ずっと心配させていたのだろうか。
ごめんなさい。一言そう謝ってアリシアはカップをギュッと持つ。手が温まると気持ちも少し落ち着く。
「実は今日ちょっと色々あって……気付いてしまったんです」
ニーナから送られた手紙を読んでから、今までのことを思い返したりして、ゆっくりと考えた。そして、結論らしきものが出た。
「わたし、彼が──イルヴィス殿下のことが、好きみたいなんです」
改めて口にしてみると、その結論は正しいとしか思えない。
「今までも、彼のことは人として好きでした。だけど、それだけじゃなくて……」
「恋をしていた?」
姉の問いかけに、コクリと小さく、けれど確かにうなずく。