第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「彼といる時間をあんなに楽しく感じるのも、彼がくれた物があんなに大切なのも、彼の好きなものを知りたいと思うのも、わたしに向けられる気持ちがどうしようもなく気になってしまうのも……今考えたら、全部好きだったからなんだろうなって」
少女漫画が大好きだった前世から、恋愛というものに漠然と憧れてはいた。だが、アリシアにとってそれはあくまでフィクションの世界だった。
「人を好きになると、こんなドロドロした気分を抱えることになるだなんて、知らなかった」
「ドロドロ?」
「はい……。殿下は、この国のディアナ王女と昔から親しいようなんです。でもわたし、二人が親しくしているのを見るだけでこう、胸の辺りが重苦しい感じになってきて……」
ディアナはずっと昔からイルヴィスのことを想っていたのだ。後から横取りしたかのような状態の自分が、彼女に対してそのような醜い嫉妬心を抱くなど何様のつもりだろう。
そう呟いたアリシアは、うつむいてふうっとゆっくり息を吐く。すると──
「ふふ、あははは」
「姉様?」
レミリアが、それはそれは愉快そうに笑いだした。