第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
2.旅人
□
「お嬢様、先ほどから何度もため息をつかれていますが、大丈夫ですか?」
屋敷へ戻る道中の馬車の中。
アリシアに侍女として仕えるノアが眉をひそめて聞いてきた。
「え、わたしため息なんてついてた?」
「ええ。外を眺めながら何度も。あ、もしかして……」
ノアはずいっとアリシアの顔をのぞきこむ。
「またあのメイドに何かされたんですか?」
「あのメイドってニーナさんのこと?……嫌ね、一緒にお茶して話してただけよ」
「ですが彼女は以前お嬢様のことを陥れようとしたんですよ?なのにあんなに気を許していいのですか?」
「ニーナさんは心から反省しているし、何度も謝ってくれたわ」
「それにしたって彼女はお嬢様に対して馴れ馴れしすぎです」
「あはは……そうかしら」
それは仕方がない。
ニーナとは転生者どうし、他の人には絶対に共有できないような話題も話すことができる。前世の話をするときには、どうしてもお互い日本人だった頃の記憶に引っ張られ、現在の身分をおざなりにしてしまうのだ。
だからノアの言う通り、周囲から見ると馴れ馴れしくしているように見えてしまうのかもしれない。
「お嬢様、先ほどから何度もため息をつかれていますが、大丈夫ですか?」
屋敷へ戻る道中の馬車の中。
アリシアに侍女として仕えるノアが眉をひそめて聞いてきた。
「え、わたしため息なんてついてた?」
「ええ。外を眺めながら何度も。あ、もしかして……」
ノアはずいっとアリシアの顔をのぞきこむ。
「またあのメイドに何かされたんですか?」
「あのメイドってニーナさんのこと?……嫌ね、一緒にお茶して話してただけよ」
「ですが彼女は以前お嬢様のことを陥れようとしたんですよ?なのにあんなに気を許していいのですか?」
「ニーナさんは心から反省しているし、何度も謝ってくれたわ」
「それにしたって彼女はお嬢様に対して馴れ馴れしすぎです」
「あはは……そうかしら」
それは仕方がない。
ニーナとは転生者どうし、他の人には絶対に共有できないような話題も話すことができる。前世の話をするときには、どうしてもお互い日本人だった頃の記憶に引っ張られ、現在の身分をおざなりにしてしまうのだ。
だからノアの言う通り、周囲から見ると馴れ馴れしくしているように見えてしまうのかもしれない。