第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 しかし、今回はそうではないらしい。



「この国の第二王子、カイ様よ。アリシアちゃんに会いに来たんだって仰ってて。今エド様が対応しているのだけど、見ていて可哀想なくらい緊張しちゃってるのよ……」


「カイ様が!?」



 アリシアは彼の来訪に驚くと同時に、緊張してしどろもどろになっているエドモンドの姿が浮かんで来て、急いで姉の元へ駆け寄る。



「今すぐ行きます。どちらに?」


「玄関よ。中にお通ししようとしたのだけど断られて」


「わかりました」



 アリシアは一瞬部屋の鏡の前に立って身だしなみを確認すると、早足で玄関へと向かった。

 玄関の扉を開くと、男性二人の話し声が聞こえてきた。



「か、カイ殿下は、こ、ここまでどのようにいらしたんですかっ?」


「ん?歩いて来たぞ!城からここまで男の足では十分に歩ける距離だからな!」


「そ、そうなんですね……!で、でも迷ったりとか……」


「この屋敷には……いや、この屋敷の近くには、前に何度か来たことがあるから大丈夫だ!自分の国でまで迷うようなみっともない真似はしない」


「そ、そうでございますよね」



 楽しそうに笑う青髪の王子の相手をするエドモンドは、予想を裏切らない緊張っぷりだ。

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