第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「お待たせいたしました」
後ろから声を掛ければ、エドモンドは「助かった!」というように顔を輝かせる。
そして深々とカイに頭を下げると、そそくさとその場を離れた。
「アリシア殿!突然訪ねて来て悪かったな」
「いえ、わたしは全然……」
「そうか!ならば良かった」
まあアリシアは良くとも、エドモンドたちにとってはたまったものではなかっただろうが。
「あの、わざわざカイ様がここまでいらっしゃるなんて……。何かあったのですか?」
「何か?変なことを聞くな。俺が貴女に会いたかっただけだ!ほら……」
カイは冗談めかしてウインクをした後、楽しげな声で言う。
「貴女にこの国を案内するという約束をしていただろう?」
「約束……ああ、そういえば」
それは確か、カイがグランリア王国の王城に来ていたときの話だった。
『そうだな!忙しくて疲れているであろうイルには王室所有のビーチでゆっくりしてもらえば良い。その間俺が責任を持ってアリシア殿に国を案内するとしよう』
公務が忙しい中、アリシアたちに同行すると言い出したイルヴィスに、彼はそのようなことを言っていた。
冗談かと思っていがどうやら本気だったようだ。