第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「今からその約束を果たそうと思うのだが、どうだ?時間はあるか?」
「はい!もちろんです!」
「おお、良かった。行きたい場所なんかはあるか?」
尋ねられたアリシアは、少し考えてから顔を上げる。
「そうですね、もう一度海の近くまで行きたいです。あと、お店がたくさんある所ってありますかね?友人へお土産を買いたくて」
「もちろんある。海も店もここから歩ける範囲にあるから、馬車を呼ぶ必要はなさそうだな」
「そうですね。それにせっかくなので、ゆっくり歩きながらこの国の雰囲気を肌で感じたいです」
グランリアに帰ってしまったら、次いつルリーマ王国へ来られるかわからない。今のうちに景色や空気を存分に味わいたい。
話がまとまったところで、アリシアは玄関の戸を開き、扉越しに聞き耳を立てていた姉夫婦に言う。
「……ということですので、少し行ってきますね」
「え、ええ。気をつけてねアリシアちゃん」
「き、きっとアリシアさんなら大丈夫だと思うけど、カイ殿下に失礼のないようにしてください……」
アリシアは不安げな二人に「もちろんです」と笑ってうなずく。
アリシアが悪いわけではないが、二人には申し訳なかったな、と少し思った。