第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「しかしあれだな。せっかく俺と二人でいるときですら婚約者のことを考えていたか。……ふっ、これは妬ける」
「や、やめてください」
顔が熱い。イルヴィスのことが好きだと自覚したばかりだからか、今のアリシアは彼の名を聞くだけで胸のあたりがふわふわむず痒くなるような状態なのだ。
果たして、こんな状態で直接本人と会ったとして、普通にしていられるだろうか。
「お嬢さん、こっちのシーグラスと貝殻を使ったネックレスはこんな感じで良いかい?」
「は、はい!こちらは友人へのお土産にするので、少し厚めに包んで頂けますか?」
老女に声をかけられ、アリシアは手で顔を扇ぎながら少し助かったような気分で答える。
この国らしいもの。ニーナへのお土産はこれに決定だ。加工品ではあるが、奇しくもノアの言うように拾った貝殻になった。
「毎度ありがとね。王子は次にお嬢さんをどこに連れていくつもりなんだい?」
「そうだな、この辺りの店でも見て回ろうかと思っているのだが……。アリシア殿はどのような店を見たいという希望はあるか?」
「なら、ハーブティーが売っている店が見たいです。近くにありますか?」