第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ」
ノアはアリシアがうなずくのを確認してから御者に問う。
「何事ですか?」
「申し訳こざいません、道の真ん中に人が倒れていまして……」
「人が?」
アリシアは御者の言葉に眉をひそめる。
人が倒れていると聞くと、色々な可能性が思い当たる。病気で倒れてしまったのかもしれないし、怪我をしてしまい動けないのかもしれない。
いずれにせよ、そのまま放っておくわけにはいかない。
「降ろしてちょうだい。様子を見に行くわ」
「あっ、お待ちくださいお嬢様」
アリシアはノアの制止を聞かず馬車から降りる。
馬車が止まっているすぐ先に、確かに人がうつ伏せで倒れているのが見受けられた。アリシアは急いでその人物の元へ駆け寄る。
その人物は、深い青色の髪をした青年だった。
質素ではあるものの丈夫そうな生地の服を着ており、身なりはそう貧しそうには見えない。動きやすそうな靴や、荷物の感じからして旅人かもしれない。