第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「本当は多めのミルクとお砂糖を入れて飲むものなのですけど、この時間に甘い物を取ると体に悪いとカーラに止められてしまいまして」
「ああ……確かに」
甘みがあればもう少し飲みやすいだろうか。アリシアならばこのままでも「珍しい」と言って喜ぶかもしれないが。
スパイスのせいなのか、身体が内側から温まってくるのを感じる。
「いつもの紅茶の方が好みですけど、これはこれで美味しいですわ」
ディアナはそこそこ気に入った様子で、嬉しそうに紅茶を飲んでいる。
この国は、グランリアと比べお茶を楽しむ習慣が定着しており、そのためか城にも代々お茶係という役職がある。この城に来てから出された紅茶は全て、そのいわばお茶を淹れるプロが淹れた紅茶なのだから美味しくないわけはない。
だが──
(アリシアの淹れるハーブティーが飲みたい……)
アリシアが自分のために淹れてくれるハーブティーが飲みたい。高級な茶葉を使った紅茶より、彼女が選んだハーブティーの方が嬉しい。
(アリシアの顔が見たい……)
そんな思いがぼんやりとする頭の中を巡る。