第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「ずっと考えていたんです。どうやったらイル様が私のものになるのかなって」
ゆっくりゆっくり彼に近づき、そっと手を伸ばす。
汗でしめり、色味のさした頬に触れると、イルヴィスは荒い息をしながらディアナを睨みつけてくる。
「簡単なことですよね。既成事実をつくってしまえば良いんです」
「……何のつもり、だ」
「既成事実があれば、私があなたの妻になることを、お父様もきっと反対したりしない。……まあ、ものすごく怒られるとは思いますけれど。イル様だって、そこら辺の身分の低い女ならいざ知らず、友好国の王女である私相手に関係を持ったならば、蔑ろにはできない。そうですよね?」
ディアナは薄いドレスから肌をのぞかせ、イルヴィスの座るベッドの上へのぼる。ベッドをぎしりと軋ませながら、微笑を浮かべて彼の耳元で囁くように言う。
「イル様、私を抱いてください」
そっと寄りかかり、彼の腕へぎゅっと抱きつく。
ずっとこんな風に触れたかった。妹のようにではなく、恋人のように。
「きゃっ」
唐突に手首をイルヴィスに掴まれる。
そして、そのままベッドの上に押し倒された。