第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
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ディアナが廊下の向こうへ走り去って行くのを確認して、イルヴィスは深く息をついてしゃがみこんだ。
「……」
幼い頃から妹のように思っていたディアナ。彼女が自分にそんな感情を持っていることに、少しも気づいていなかった。
まさか紅茶に媚薬を盛るなどという暴挙に出るほど追い詰められていたとは。
「いっ……」
突然、頭に鈍い痛みが走った。
相変わらず熱くて堪らないが、先ほどまで感じていた身体の奥底が疼くような感じはなくなり、また違った種類の熱であるような気がする。
意識は朦朧とし、熱いのに同時に寒気もする。
病に罹って熱を出した時のような感覚だ。
部屋に戻って横にならねばと思うのに、立ち上がれない。力が上手く入らない。
──コツコツと、誰かがこちらへ歩いてくる足音が聞こえる。
聞くともなしに聞いていたその足音が、にわかに速まった。やがてその足音が止まると、代わりに焦ったような声がした。
「殿下!?どうなさったのですか?」
「アリ……シア……?」
聞き間違うはずのない婚約者の声。
どうにか顔を上げると、不安そうな表情をしたアリシアが至近距離にいた。
ディアナが廊下の向こうへ走り去って行くのを確認して、イルヴィスは深く息をついてしゃがみこんだ。
「……」
幼い頃から妹のように思っていたディアナ。彼女が自分にそんな感情を持っていることに、少しも気づいていなかった。
まさか紅茶に媚薬を盛るなどという暴挙に出るほど追い詰められていたとは。
「いっ……」
突然、頭に鈍い痛みが走った。
相変わらず熱くて堪らないが、先ほどまで感じていた身体の奥底が疼くような感じはなくなり、また違った種類の熱であるような気がする。
意識は朦朧とし、熱いのに同時に寒気もする。
病に罹って熱を出した時のような感覚だ。
部屋に戻って横にならねばと思うのに、立ち上がれない。力が上手く入らない。
──コツコツと、誰かがこちらへ歩いてくる足音が聞こえる。
聞くともなしに聞いていたその足音が、にわかに速まった。やがてその足音が止まると、代わりに焦ったような声がした。
「殿下!?どうなさったのですか?」
「アリ……シア……?」
聞き間違うはずのない婚約者の声。
どうにか顔を上げると、不安そうな表情をしたアリシアが至近距離にいた。