第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
そしてアリシアと入れ替わるように、ドアがノックされ従者が入ってきた。
「おはようございます殿下。見たところ顔色は良さそうですが、気分はいかがですか?」
「気分……」
イルヴィスは緩む口元を押さえて言う。
「つい先程、とても良い気分になった」
「はい?」
「こちらの話だ、気にするな」
深く息を吐き出して、それから本人に聞けなかったことを問う。
「アリシアは一晩中ここにいたのか?」
「はい。熱冷ましの濡れタオルを替えたり、顔や腕の汗を拭いたりと甲斐甲斐しく看病なさっていて……起きていなくて残念でしたね」
余計なお世話だ。
終始ニコリともしない従者をひと睨みすると、彼はわざとらしく咳払いをして言い直した。
「お休み頂くようには言ったんですが、気になって眠れないからとずっとこの部屋におられましたよ」
「そうか」
「あと、アリシア嬢が看病してくださっていたお陰で、こちらは殿下が飲まされた毒の正体を突き止めることができました」
「毒?」
従者の言葉に、イルヴィスは眉をひそめる。
彼はうなずいて、手に持っていた本を開いて見せた。