第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 要するに、殺されかけたわけでもないのだから、騒ぎにするべきではないと言いたいのだろう。イルヴィスもそれには同意見であるし、元よりそのつもりだ。



「まだ体調も万全ではないでしょうし、このまましばらくお休みになられてはいかがですか?あと水分はしっかり取ってください」


「そうしよう、お前にも苦労掛けたな。夜通し調べてくれていたのだろう?お前こそゆっくり休め」



 深く頭を下げて去ろうとしていた従者に、イルヴィスは一つ聞きそびれていたと呼び止める。



「そういえば、アリシアはどうして私の部屋の近くまで来ていたんだ?何か用があったのか聞いているか?」


「はい、少し聞いていますよ。ですが……」



 今までほとんど表情を変えなかった従者は振り返り、にんまりと意味ありげに口角を上げた。



「その用事は是非、本人の口から聞いて差し上げてください」



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