第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
■
「ふふ、うふふふ……」
目の前で繰り広げられた光景に、ディアナの口からは自然と笑い声がもれた。
ハンカチに染み込ませた薬を嗅がされたアリシアは、それを実行した人物の腕の中でぐったりとしている。
「ふふ、ちゃんと来てくれて良かった。お陰で計画通りに進められそうですわ」
上機嫌に言いながら、ディアナは目を閉じたアリシアの頬に触れる。
この女のことは、整った目鼻立ちから少し珍しいターコイズブルーの髪、細いのにか弱さを感じさせない手足に至るまで、全てが気に入らない。
「誰もいないうちに外へ出ましょう。実はこの前、城壁の一部に割れ目があるのを見つけましたの。そこからなら人目に付かずに出られますわ」
物騒だから早く言って修理させようと思っていた城壁の割れ目。
すっかり忘れていたが、まさかこんな形で役立つとは思っていなかった。
ディアナはあらかじめ用意していた外套を意識のないアリシアと彼女を抱える人に着せ、自らも羽織り目深にフードをかぶる。
目立たないように城を出た後は、このまま港まで行く手はずになっている。
「ふふ、うふふふ……」
目の前で繰り広げられた光景に、ディアナの口からは自然と笑い声がもれた。
ハンカチに染み込ませた薬を嗅がされたアリシアは、それを実行した人物の腕の中でぐったりとしている。
「ふふ、ちゃんと来てくれて良かった。お陰で計画通りに進められそうですわ」
上機嫌に言いながら、ディアナは目を閉じたアリシアの頬に触れる。
この女のことは、整った目鼻立ちから少し珍しいターコイズブルーの髪、細いのにか弱さを感じさせない手足に至るまで、全てが気に入らない。
「誰もいないうちに外へ出ましょう。実はこの前、城壁の一部に割れ目があるのを見つけましたの。そこからなら人目に付かずに出られますわ」
物騒だから早く言って修理させようと思っていた城壁の割れ目。
すっかり忘れていたが、まさかこんな形で役立つとは思っていなかった。
ディアナはあらかじめ用意していた外套を意識のないアリシアと彼女を抱える人に着せ、自らも羽織り目深にフードをかぶる。
目立たないように城を出た後は、このまま港まで行く手はずになっている。