第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 ベッドは冷たく、ずいぶん前に起た様子だったらしい。今までこんなことはなかったそうだ。



「今、城中の者が捜索にあたっている。イルのところにもいなとなると他に心当たりが……」


「あの、カイ王子。実は……」



 ノアはアリシアもまた行方不明であることについて説明する。

 それを聞いたカイは、「なにっ」と目を見開いて、ガシガシと頭をかいた。



「アリシア殿まで……」


「カイ、とにかく二人を探そう。誰か一人くらい二人の姿を見た者がいるかもしれない」


「ああ、そうだな」



 城の者に片っ端から話を聞いてくる。カイはそう言ってまた走って行く。



(どうか何事もありませんように)



 奇妙な胸騒ぎを覚えたノアは、そう祈らずにいられなかった。


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