第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



 ふわふわ、ゆらゆらと揺れている感じがした。

 聞こえてくる波の音は、どこか遠いような気もするし、すぐ近くであるような気もする。

 夢を見ているのか起きているのかよくわからない……といった状態だったが、ぐわんと一際大きい揺れによって、アリシアは目を覚ました。

 まぶたを開けた瞬間に眩い光が飛び込んできて、思わず顔をしかめる。



(ここ、どこ?)



 見えるものと言えば、木製の床とただただ眩しい空。それから──遠くまで広がる、海。



(船の、上?)



 目が眩むので、光を遮るため手で影をつくろうとしたところ、アリシアは自分の手が動かせないことに気づく。

 縄のようなもので、手首を今までもたれていた柱に縛り付けられていた。もしやと思って足を伸ばすと、そちらも同様に縄で拘束されている。



(現状が全くわからないのだけど……)



 何とかして手を動かせないかと、力任せに縄を引っ張ってみるが、手首にめり込んでくるばかりで解けそうにない。

 ヤケになってさらに力をこめると、何やら悲鳴が上がった。



「いたいっ!痛いですわ!あまり引っ張らないでくださいな!」



 聞き覚えのある可愛らしい声に、アリシアは驚いて振り返る。



「ディアナ王女……?」



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