第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 縛り付けられている柱の反対側。同じように拘束されているディアナがいた。

 縛るのに使われている縄が繋がっていて、アリシアが無理やり手を引き抜こうと引っ張ったところ、ディアナの手が強く締め付けられたようだ。



「どうして貴女が?というかここはどこ?状況を説明して欲しいのですけど」


「嫌です」


「はい?」


「説明したくないです」



 何故今このような状態になっているのかは知っているが言うつもりはない、ということらしい。

 言葉だけ聞けばかなり自分勝手な感じだが、彼女の声は今にも泣き出しそうだったので、アリシアは口をつぐんだ。



(そうだ、ちょっと思い出してきたわ。ディアナ王女がわたしを呼んでいるという話を聞いてその場所に行ったら、突然甘い匂いをかがされて……)



 確か、あの場所にはディアナもいて……こちらを見て笑っていた。

 あの状況から普通に考えれば、ディアナが使用人の誰かに命じるなりしてアリシアを気絶させたといったところだろう。気絶させた後、今まさにアリシアがされているように身動きを取れない状態にして、自由にするのと引き換えに何か要求するつもりだったのではないか。



(うーん……だとしたらどうして、彼女までわたしと一緒に拘束されているのかしら)



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