第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
昔からずっと抱き続けていた、イルヴィスへの思い。
なのに彼からは妹のようにしか見てもらえない切なさ。
婚約者であるアリシアへの恨みごともいくつも言われた。
恨みごとは聞き流しつつ、アリシアは一つ腑に落ちたことがあった。
(妹、か。殿下がディアナ王女に向けていたあの優しげな目は、彼女のことを妹のように思っていたから)
それに気がつくと、胸の辺りのモヤモヤしたものが一つなくなったような感じがした。
今はそんなことを考えていられる状況ではないと理解してはいるが、安心せずにいられなかった。
「アリシアさんさえいなくなれば、また私にチャンスが回ってくるのではないか、と考えました。浅はかな考えだと笑いますか?」
「いえ……」
その計画自体は浅はかであり、もし露見すればいくら王女という地位の彼女でも何もなしには済まされないだろう。
しかし、計画を実行するに至るほどの、彼女のイルヴィスへの想いは、少しも笑うことができない。
「ディアナ王女。貴女がどれだけ長い間、イルヴィス殿下のことを想っていたのかはよくわかりました。それに比べてわたしは、彼と知り合って日も浅いし、まだまだ知らないこともたくさんあります」