第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「えっ、ちょっ……」
「美しい人だ!」
彼は感動したように目を輝かせる。
「容姿はさることながら、心まで清らかで美しい……!ここまで美しい女性に出会ったのは初めてだ!」
「えっと……美しい?」
「ああ!空腹に倒れている見ず知らずの旅人に食事を振る舞い、その上楽しませようとする気遣いまである。この心意気を美しいと言わずして何と言う!」
グっと拳を握って力説する青年。どうやらものすごく褒めてくれているようだ。
「ええっと、ありがとう……?」
「礼を言うのはこちらだ。本当にありがとう!貴女に出会えたというそれだけで、この旅は素晴らしいものとなったよ!」
「ど、どういたしまして」
彼は何やらずいぶんとユニークな性格をしているらしい。どう対応するのが正解なのかよくわからない。
──それから一時間ほど、青年は色々な話をし、事あるごとにアリシアを褒め称えるというのを繰り返した。
彼はこの国の人間ではないらしく、面白い話がたくさん聞けた。それは良いのだが、あまりに「美しい」だの「麗しい」だの褒められるので、その都度どう反応するべきか困らされた。
「何と、もうこんな時間か」