第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
17.兄妹の真実
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城の使用人総出で、行方のわからなくなったディアナたちの捜索が始められた。
しかしディアナもアリシアも一向に見つかる様子がなく、イルヴィスは次第に苛立ちが募っていく。
「姿が見えない」などと騒ぐのは大袈裟で、すぐ何事も無かったかのようにひょいと顔を出すのではないか……という期待は見事に裏切らたようだった。
(今朝あのまま、アリシアを部屋に引き止めておけば良かった)
そんな後悔が頭を過ぎる。
久々に触れた彼女の手の感触を思い出し、息を吐きながら自分の手を見た。
「イル!外に探しに出ていた者たちから知らせが入った!」
あちこちを走り回りながら探していたらしいカイがイルヴィスの方へ駆け寄ってくる。
肩で息をしながら叫ぶカイの表情は、少し厳しかった。
「今朝、港付近で外套を着て顔を隠した、女と思しき三人組を見たという情報がいくつかあった。そのうちの一人はぐったりとして別の人物に背負われていたらしい」
「確かに少し怪しいな」
「ああ。それでその背負われていた女は──ターコイズブルーの髪をしていたらしい」
「!」
アリシアだ。
イルヴィスは今すぐにでも目撃情報があったという港の方へ向かいたい衝動をこらえながら、なるべく冷静さを失わないよう落ち着いて問う。
城の使用人総出で、行方のわからなくなったディアナたちの捜索が始められた。
しかしディアナもアリシアも一向に見つかる様子がなく、イルヴィスは次第に苛立ちが募っていく。
「姿が見えない」などと騒ぐのは大袈裟で、すぐ何事も無かったかのようにひょいと顔を出すのではないか……という期待は見事に裏切らたようだった。
(今朝あのまま、アリシアを部屋に引き止めておけば良かった)
そんな後悔が頭を過ぎる。
久々に触れた彼女の手の感触を思い出し、息を吐きながら自分の手を見た。
「イル!外に探しに出ていた者たちから知らせが入った!」
あちこちを走り回りながら探していたらしいカイがイルヴィスの方へ駆け寄ってくる。
肩で息をしながら叫ぶカイの表情は、少し厳しかった。
「今朝、港付近で外套を着て顔を隠した、女と思しき三人組を見たという情報がいくつかあった。そのうちの一人はぐったりとして別の人物に背負われていたらしい」
「確かに少し怪しいな」
「ああ。それでその背負われていた女は──ターコイズブルーの髪をしていたらしい」
「!」
アリシアだ。
イルヴィスは今すぐにでも目撃情報があったという港の方へ向かいたい衝動をこらえながら、なるべく冷静さを失わないよう落ち着いて問う。