第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「そのターコイズブルーの髪の女がアリシアだとして……あとの二人は?」
「断定はできないが、タイミングからして恐らく一人はディアナだろうな」
やはりか。イルヴィスは思わず唇を噛む。
イルヴィスに想いを寄せていたと告白し、拒否されたディアナにとって、アリシアはいわば恋敵。その上軽率にも、昨夜「アリシアを愛している」とディアナに断言してしまったような記憶がある。
果たしてあのディアナが、アリシアに何も仕掛けないと言えるだろうか。
カイには言っていないが、ノアからアリシアが行方不明であると聞いてから、ずっとその可能性を疑っていた。
(ぐったりしていた……薬か何かで眠らされていたのか?)
いったいアリシアをどうするつもりなのか。
港にいたということは、船に乗せどこか遠くへ連れ去ろうとでもしているのか。
「カイ、もちろん探しに行くよな?」
「当たり前だ。だが港から海に出たとすると、捜索範囲がずいぶんと広くなるな……」
カイは顔を曇らせる。
「海には出ずに、港近くのどこかの建物にいるという可能性もあるし、それなら捜索しやすいのだが……」