第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


「そのターコイズブルーの髪の女がアリシアだとして……あとの二人は?」


「断定はできないが、タイミングからして恐らく一人はディアナだろうな」



 やはりか。イルヴィスは思わず唇を噛む。


 イルヴィスに想いを寄せていたと告白し、拒否されたディアナにとって、アリシアはいわば恋敵。その上軽率にも、昨夜「アリシアを愛している」とディアナに断言してしまったような記憶がある。

 果たしてあのディアナが、アリシアに何も仕掛けないと言えるだろうか。


 カイには言っていないが、ノアからアリシアが行方不明であると聞いてから、ずっとその可能性を疑っていた。



(ぐったりしていた……薬か何かで眠らされていたのか?)



 いったいアリシアをどうするつもりなのか。

 港にいたということは、船に乗せどこか遠くへ連れ去ろうとでもしているのか。



「カイ、もちろん探しに行くよな?」


「当たり前だ。だが港から海に出たとすると、捜索範囲がずいぶんと広くなるな……」



 カイは顔を曇らせる。



「海には出ずに、港近くのどこかの建物にいるという可能性もあるし、それなら捜索しやすいのだが……」



< 181 / 243 >

この作品をシェア

pagetop