第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 それによると、ディアナは今朝早くに、彼女を含め数人のメイドに対し命じたらしい。

 アリシアを探し、見つけたら、話したいことがあるから庭のハイビスカスが咲いている場所あたりに来るよう伝えてほしい、と。

 アリシアを呼び出したことに関して口外しないようにと言われていたが、当のディアナまで姿を消してしまい怖くなったそうだ。


 ディアナがアリシアを呼び出していたという確かな証言。イルヴィスは、さらなる情報が得られないかと重ねて問う。



「ディアナは他に何か言っていなかったか?例えば、話をした後アリシアを連れてどこかへ行くつもりだ……とか」


「い、いえ。特には」



 さすがにそこまでこのメイドに話してはいなかったか。少し落胆しつつ、それから、港での目撃情報は三人であったことを思い出す。

 アリシアとディアナ、残りのもう一人が誰かわからないだろうか。



「ディアナが命じた時、彼女は一人だったか?」


「いえ……ディアナ王女はお一人ではありませんでした」



 答えながらメイドはゆっくりと首を振る。



「その時、ディアナ王女は何故か……お茶係のカーラさんと一緒でした……」



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