第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
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その女を無言で睨みつけた後、アリシアは驚きと怒りの混じった声で、その名前を呼んだ。
「カーラ……?」
ルリーマ王国の王城でお茶係として働く二十代前半くらいの女。
アリシアの愛読書の作者であるジル・ブラントの娘であり、分厚い眼鏡がトレードマーク。
前に会った時に着ていたのは他のメイドより少し立派なメイド服だったが、今はシンプルなグレーのワンピースを着ている。雰囲気もどこか落ち着いた感じだ。
「カーラ!この縄を解いてちょうだい」
ディアナが甲高い声で訴えた。
しかしカーラはそれをちらりと一瞥しただけで視線をアリシアに戻す。
「あんまり気分の良い目覚めってわけじゃなさそうですね。まあ、当たり前ですね」
「何のつもり?」
「申し訳ないです。アタシとしてはアリシア様に個人的な恨みはないんですけど」
「質問に答えて。いったい何のつもり?」
強い口調で問うも、カーラは特に気にする様子もなく、微笑を浮かべたまましゃがんでアリシアに視線を合わせた。
「アタシの目的はあなたではなく、こっちです」
そう言って指さしたのは、ディアナだった。
その女を無言で睨みつけた後、アリシアは驚きと怒りの混じった声で、その名前を呼んだ。
「カーラ……?」
ルリーマ王国の王城でお茶係として働く二十代前半くらいの女。
アリシアの愛読書の作者であるジル・ブラントの娘であり、分厚い眼鏡がトレードマーク。
前に会った時に着ていたのは他のメイドより少し立派なメイド服だったが、今はシンプルなグレーのワンピースを着ている。雰囲気もどこか落ち着いた感じだ。
「カーラ!この縄を解いてちょうだい」
ディアナが甲高い声で訴えた。
しかしカーラはそれをちらりと一瞥しただけで視線をアリシアに戻す。
「あんまり気分の良い目覚めってわけじゃなさそうですね。まあ、当たり前ですね」
「何のつもり?」
「申し訳ないです。アタシとしてはアリシア様に個人的な恨みはないんですけど」
「質問に答えて。いったい何のつもり?」
強い口調で問うも、カーラは特に気にする様子もなく、微笑を浮かべたまましゃがんでアリシアに視線を合わせた。
「アタシの目的はあなたではなく、こっちです」
そう言って指さしたのは、ディアナだった。