第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
確信が持てないのは、その続きだった。
「……もちろん世の中には、血の繋がった家族を相手に、恋愛感情を抱いてしまう人だっているのかもしれません。ですけど、カイ様は違いますよね?」
アリシアは、ハイビスカスティーの入ったティーカップを持ち上げて、目線の高さまで上げた。
「カイ様とディアナ王女はそう──言うなれば、観賞用の赤いハイビスカスとローゼルなのではありませんか?」
「ハイビスカスと、ローゼル……?」
不思議そうに首をかしげたカイだが、やがてハッと何かに気づき、顔色が変わる。
「お二人はご兄妹ではない。ディアナ王女は、王妃様の親戚である、クラム公爵家の娘なのでは?」
言ってからアリシアはゴクリと唾を飲み込んだ。
そもそも、持ち前の好奇心で真実を確認したいと思ってしまったが、良くなかったのではないか。この時になって後悔が頭をかすめた。
「……ハイビスカスティーというのに蓋を開けてみれば違う植物であるこのお茶と、王族であると信じられていながら実際はただの元貴族令嬢であるディアナ、か。上手く例えたものだな」
「ではやっぱり……」
「ああ。どうして知っている?」