第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
国王が娘のディアナを可愛がっているため、他国へやるのが惜しいと思っている……という可能性もあるが、アリシアは別の可能性を考えた。
「国王様は、ディアナ王女の嫁いだ先で、何かの間違いにより彼女が本当の王女ではないと知れて、トラブルになってしまうのを恐れているのではないかと思いました」
王女として送られてきた女が、本当は王族でなかったとなれば、少なからず問題は起きるだろう。
嫁がせようとしていた信頼する家臣とはつまり、本当のディアナについて知っている者という意味ではないだろうか。
「そうだな。俺も恐らくそうだろうと思う」
カイは神妙にうなずき、目で続きを促す。
「あとは、使用人たちの間に流れたという噂ですね。当時、王妃様の子は死産してしまったのではないかと不穏な噂が流れたそうですね」
「ああ」
「それがただの噂ではなく、事実だったとしたら……。それが例の火事のタイミングと同じなら、クラム公爵家の娘をまるで無事に産まれた我が子のように偽ることができるのではないかと」
「想像力が豊かだな。……だが、その通りだ」
ふーっと息を長く吐いたカイは、ゆっくりと話し出した。