第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
1.恋バナ
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病室で大量に読んだうちの一つに過ぎないラブファンタジーの少女漫画。その脇役であり悪役の伯爵令嬢に転生すると知ったら、前世の自分はいったいどう思うだろう。
今より健康な身体が手に入るなら不満はない、と受け入れるだろうか。それとも、どうせ少女漫画の世界に転生するなら、お気に入りの学園ラブストーリーものの世界が良かったと文句を言うだろうか。
しかし、実際に転生してみて言えることは、アリシア・リアンノーズという人間は、人・環境・容姿に恵まれた幸せな人物であるということだ。
そう、例えば前世では全く縁のなかった「恋愛についての悩み」を持てるほどには──。
「アリシア様、さっきあたしに『ミントティーとラベンダーティーとカモミールティーがあるけど、何が飲みたい?』って聞いてきましたよね?」
王宮メイドとして働くニーナが、頬をぷくっと可愛らしく膨らませて不満そうな声を上げた。
ここはグランリア王国の王宮内にある広大な庭園。
婚約者である第一王子とのティータイムが習慣化して以来、その一角にあるハーブ園を訪れることがアリシアの中で決まりになっている。
病室で大量に読んだうちの一つに過ぎないラブファンタジーの少女漫画。その脇役であり悪役の伯爵令嬢に転生すると知ったら、前世の自分はいったいどう思うだろう。
今より健康な身体が手に入るなら不満はない、と受け入れるだろうか。それとも、どうせ少女漫画の世界に転生するなら、お気に入りの学園ラブストーリーものの世界が良かったと文句を言うだろうか。
しかし、実際に転生してみて言えることは、アリシア・リアンノーズという人間は、人・環境・容姿に恵まれた幸せな人物であるということだ。
そう、例えば前世では全く縁のなかった「恋愛についての悩み」を持てるほどには──。
「アリシア様、さっきあたしに『ミントティーとラベンダーティーとカモミールティーがあるけど、何が飲みたい?』って聞いてきましたよね?」
王宮メイドとして働くニーナが、頬をぷくっと可愛らしく膨らませて不満そうな声を上げた。
ここはグランリア王国の王宮内にある広大な庭園。
婚約者である第一王子とのティータイムが習慣化して以来、その一角にあるハーブ園を訪れることがアリシアの中で決まりになっている。