第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


「あの、アリシアさん。一つお聞きしても?」


「何ですか?」


「私を放って一人で助かろうとは思わなかったのですか?」


「え?」


「だって、私が貴女のことを誘拐させようなどと計画しなければ、そもそもこんなことにならなかったのですよ?いわば元凶である私のことも、彼らと同じよう睡眠薬を飲ませて眠らせることだってできますわよね?」


「まあ、そうですね」



 ディアナが何を言いたいのかよくわからず、アリシアは曖昧にうなずく。



「それに、私は本当の王女ですらないのです。貴女に私を助ける価値があるとは思えません」


「助ける価値……ああ、なるほど」



 ディアナは、自分がアリシアに悪いことをしたのだという自覚はある。だから、そんな自分を助けようとしているともとれるアリシアの行動に戸惑っているのだ。

 この国の王女であるならば、助けることのメリットも大きいかもしれない。しかし、アリシアは「ディアナが本当の王女ではないことを知っている」と明言していたからそれもない。


 言われてみれば、アリシアは当たり前のように、ディアナと共に窮地を脱する方法を考えていた。


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