第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
そこまで考えた時、突然ディアナが叫んだ。
「アリシアさん!あっちの遠くに船のようなもの、見えません?」
「えっ、どこです」
「ほら、向こうの方!」
ディアナの言う方を見ると、確かに船のシルエットが遠くに見える。
アリシアはこの船の中で、上ることのできる一番高いところまで行き、持ってきた赤い大きな布を全力で振った。
こちらに気づいてさてもらえれば、ちゃんと助けを求めているように見えるだろう。
さすがにこの大きさの布は重く、肩と腕と手首が既に悲鳴を上げているが、どうにかして必死に振り続ける。
「はぁ、はぁ……」
汗が吹き出て、息もきれてきた頃、どうやらその船がこちらに気づいてくれたらしいことがわかった。
少しずつこちらへ近づいてきている。
「ディアナ王女。もう煙を上げなくても大丈夫そうですよ。気づいてもらえたようです。このまま待ちましょう」
ディアナに声をかけ、その場に座り込んだ。
しばらくそのまま休んでいるうちに、遠くにいた船がだいぶ近くまで来た。
「おーい!そこの船、煙が出ているように見えたが、何かあったのかー?」