第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
彼を前にするとすぐに鼓動が速くなっていき、意識していないと動揺が顔に出る。
昨日ニーナにその話をしたばかりだからか、いつも以上に意識してしまう。
(ダメダメ。今はそんな余計なこと考えていないで、まずはお客様に自己紹介を……)
アリシアは彼の向かいに座る人物に目をやった。
イルヴィスに劣らないほどの上等な服に身をつつんだ、青色の髪の青年。歳は20過ぎぐらいといったところか。
彼の綺麗な蜂蜜色の瞳は、どこかで見覚えがあるような気がした。
いったいどこで……アリシアが記憶を辿ろうとした瞬間だった。
「ああっ!!」
その青年は驚いたように叫ぶと、立ち上がってアリシアの顔を至近距離からまじまじと見つめてきた。
「貴女は昨日の!まさかこんなに早く再会できるとは!」
「あ、あの……ん、昨日……再会……ってことはまさか!?」
「そう!昨日貴女に助けて頂いた旅人だっ!」
あまりに雰囲気が違っていてすぐには気づけなかった。だがよく見ると、確かに彼は昨日道の真ん中で倒れていたあの旅人だ。