第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「カーラ!」
ディアナは数歩カーラに近づき、名前を呼んだ。
「私、カーラが淹れてくれるお茶が、とても好きでしたわ」
カーラは立ち止まり、ゆっくりディアナの方へ顔を向ける。
今にも泣き出しそうな目をしているが、無理やりに弱々しい笑顔を浮かべた。
そして、何かを呟いたかと思うと、深く頭を下げた。
ここからでは、その声はさすがに聞こえない。
だが口の動きは、『ありがとうございます』と言っているように見えた。