第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
20.帰り道
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ふんわりと湯気の立つティーカップ。
ほんの数日前まで、こうやってお茶を淹れるのはカーラの仕事だった。
彼女がいなくなった今、きっとすぐに次のお茶係が雇われるのだろう。
だが今日は、そんなお茶係の代わりに、色々あった末に友達になった、隣国の伯爵令嬢がディアナにお茶を淹れてくれている。
貴族の令嬢ならば、お茶は淹れる側ではなく飲む側だろうと思っていたが、彼女はお茶を淹れるのが得意らしい。
慣れた手つきで用意されたティーカップをアリシアから受け取った。
ゆっくり口を近づけ、一口すする。
すると口いっぱいに、紅茶ならではのほのかな甘みと豊かな香りが広が──
「にっっが!!」
──らなかった。
そのお茶の味は、ディアナが想像するものとはかけ離れていた。
苦い。苦すぎる。これまでの人生で口にした何よりも苦い。
「な、何ですのこれ……」
ゴホゴホとむせながら問う。
よく吐き出さなかったな、と近くにあった水を飲みながら思う。
アリシアはそんなディアナを見て満足そうに笑った。
「『アリシアスペシャル・ルリーマ王国ver.』です」
「何ですって?」
ふんわりと湯気の立つティーカップ。
ほんの数日前まで、こうやってお茶を淹れるのはカーラの仕事だった。
彼女がいなくなった今、きっとすぐに次のお茶係が雇われるのだろう。
だが今日は、そんなお茶係の代わりに、色々あった末に友達になった、隣国の伯爵令嬢がディアナにお茶を淹れてくれている。
貴族の令嬢ならば、お茶は淹れる側ではなく飲む側だろうと思っていたが、彼女はお茶を淹れるのが得意らしい。
慣れた手つきで用意されたティーカップをアリシアから受け取った。
ゆっくり口を近づけ、一口すする。
すると口いっぱいに、紅茶ならではのほのかな甘みと豊かな香りが広が──
「にっっが!!」
──らなかった。
そのお茶の味は、ディアナが想像するものとはかけ離れていた。
苦い。苦すぎる。これまでの人生で口にした何よりも苦い。
「な、何ですのこれ……」
ゴホゴホとむせながら問う。
よく吐き出さなかったな、と近くにあった水を飲みながら思う。
アリシアはそんなディアナを見て満足そうに笑った。
「『アリシアスペシャル・ルリーマ王国ver.』です」
「何ですって?」