第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
□
「あの、何故わたしは殿下と同じ馬車に乗っているのでしょう……」
ガタガタと馬車に揺られながら、アリシアは問いかけた。
行きと同じように馬車は数台あったので、アリシアは当然ノアと一緒に後方のものに乗るつもりでいた。しかし、イルヴィスは自分が馬車に乗り込む直前、アリシアの手を引いて、強制的に同じ馬車へと乗せた。
「不満か?」
「ま、まさか……!」
もちろん不満なわけはない。
だが、こんな至近距離で、しかも二人きりだ。ドキドキして、外の景色もまともに見られない。
「この国にいた間、あまり貴女と一緒に過ごせなかったからな。せめて帰りくらいはと思ったんだ」
「そうだったんですね!」
「……何故こちらを向かない?」
ずっと目線を下にむけていたが、とうとう指摘されてしまった。
そんなの緊張するからに決まっていよう。
だがそんなことを言えるはずもなく、アリシアは誤魔化すように声を上げた。
「あ、そうでした。ずっと渡そうと思っていたのですけど、これ、よろしければ」
手渡したのは、カイと街へ出た時に買ってきた、シーグラスのピアスだ。
城に戻ってきてからもバタバタしていて、渡すのを忘れていた。
「あの、何故わたしは殿下と同じ馬車に乗っているのでしょう……」
ガタガタと馬車に揺られながら、アリシアは問いかけた。
行きと同じように馬車は数台あったので、アリシアは当然ノアと一緒に後方のものに乗るつもりでいた。しかし、イルヴィスは自分が馬車に乗り込む直前、アリシアの手を引いて、強制的に同じ馬車へと乗せた。
「不満か?」
「ま、まさか……!」
もちろん不満なわけはない。
だが、こんな至近距離で、しかも二人きりだ。ドキドキして、外の景色もまともに見られない。
「この国にいた間、あまり貴女と一緒に過ごせなかったからな。せめて帰りくらいはと思ったんだ」
「そうだったんですね!」
「……何故こちらを向かない?」
ずっと目線を下にむけていたが、とうとう指摘されてしまった。
そんなの緊張するからに決まっていよう。
だがそんなことを言えるはずもなく、アリシアは誤魔化すように声を上げた。
「あ、そうでした。ずっと渡そうと思っていたのですけど、これ、よろしければ」
手渡したのは、カイと街へ出た時に買ってきた、シーグラスのピアスだ。
城に戻ってきてからもバタバタしていて、渡すのを忘れていた。