第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「ほう、綺麗だな」
「カイ様に案内してもらった店で作ってもらったんです。殿下にとても似合いそうだと思いまして」
「……カイに案内してもらった?」
「はい。姉様の家にいた時に訪ねてきてくださって」
「初耳だな」
ちらりとイルヴィスの表情をうかがうと、ピアスを見つめながら少し複雑そうにしていた。
「あの……」
「まあ良い。大切にする」
「気に入って頂けたなら良かったです」
「そういえば、私も一つ聞きたいことがあったのだが」
イルヴィスはそう前置きして、じっとアリシアを見る。
「私が熱を出して倒れた時があった時、ずっと看病してくれていたらしいな。とても有難かった」
「あ、ああ!あの日」
「あの時私の部屋の近くにいたのは、私に何か用事があったからか?」
イルヴィスが倒れ、看病したのは確か、レミリアの家から戻ってきたその日。
確かにあの日、イルヴィスと話がしたいと思って部屋に行った。
その理由は、自分の気持ちを少しでも伝えたいと思ったから──。
「ち、違うんです……!あれは何というか、その」
あの時の決意はどこへやら。アリシアはしどろもどろになって顔を熱くする。
しかし、二人きりでいるこの瞬間、想いを伝えるチャンスでもある。