第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


「ほう、綺麗だな」


「カイ様に案内してもらった店で作ってもらったんです。殿下にとても似合いそうだと思いまして」


「……カイに案内してもらった?」


「はい。姉様の家にいた時に訪ねてきてくださって」


「初耳だな」



 ちらりとイルヴィスの表情をうかがうと、ピアスを見つめながら少し複雑そうにしていた。



「あの……」


「まあ良い。大切にする」


「気に入って頂けたなら良かったです」


「そういえば、私も一つ聞きたいことがあったのだが」



 イルヴィスはそう前置きして、じっとアリシアを見る。



「私が熱を出して倒れた時があった時、ずっと看病してくれていたらしいな。とても有難かった」


「あ、ああ!あの日」


「あの時私の部屋の近くにいたのは、私に何か用事があったからか?」



 イルヴィスが倒れ、看病したのは確か、レミリアの家から戻ってきたその日。

 確かにあの日、イルヴィスと話がしたいと思って部屋に行った。

 その理由は、自分の気持ちを少しでも伝えたいと思ったから──。



「ち、違うんです……!あれは何というか、その」



 あの時の決意はどこへやら。アリシアはしどろもどろになって顔を熱くする。

 しかし、二人きりでいるこの瞬間、想いを伝えるチャンスでもある。

< 234 / 243 >

この作品をシェア

pagetop