第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



(頑張れ、勇気を出すのよわたし!)



 大きく息を吸って吐き出す、というのを三回繰り返す。

 手をギュッと握り、イルヴィスの方を見た。さすがに目は合わせられないが。



「あの日、わたしは確かに殿下と話がしたくて部屋へ行こうとしていました」



 意に反して声が震える。



「ど、どうしても伝えたくなったんです。……殿下のことが好きだって……ディアナとばかり一緒にいるから嫉妬してしまっているって」



 言ってしまった。反応が怖い。


 しかし、なかなか言葉が返ってこない。

 代わりに、ガチャンと何かが落ちる音がした。見ると、先ほどアリシアが手渡したピアスが下に落ちていた。



「あ。このピアス、ガラス製なので、落とすと割れてしまうかも……」



 アリシアはそう言いながら落ちたピアスを拾い上げる。そして、イルヴィスに再び手渡すと、その手をそのまま強くつかまれた。



「今のは、本当か?」


「え?ええ、ガラスなので多分……」


「違う!貴女が私のことを好きだというのは本当か?それとも私のことをからかっているだけなのか?」


「か、からかうって……。本当ですよ!本当に好きです!今だってドキドキして仕方ないんですから……」



 何故か必死な様子のイルヴィスに、アリシアは思わずそんなことを言ってしまう。


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