第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
そんなアリシアのことを、イルヴィスは驚きに満ちた緑の瞳で見つめる。
「そう、か……。そうか。まずいな、これは想像以上に嬉しい」
口元を押さえ、肩を揺らして笑っている。
それから、そっとアリシアに手を伸ばした。手はアリシアのターコイズブルーの髪をそっと耳にかけさせる。
驚いて目を閉じると、その瞬間、唇が柔らかいものに塞がれた。
(っ……!)
この感じは知っている。忘れられるはずもない。
人生で二度目のキス。記憶と違うところと言えば、前はほんの一瞬触れただけだったのに、今回は息苦しくなってきても解放される様子がない。
恥ずかしさと酸素不足で頭がくらくらしてきた頃、ようやく彼の顔が離れる気配がした。
「私も同じ気持ちだ、アリシア」
イルヴィスの熱を帯びた声が耳に届く。
(同じ、気持ち……!)
ずっと知りたいと思っていた彼の気持ち。聞いた瞬間、嬉しくて涙が溢れ出そうになる。
「殿下。わたし、貴方のことが好きです。大好きです」
「私も貴女が想像している以上に貴女のことを愛している。キスをなかったことにされてずいぶんショックを受けるくらいにな」
「なかったこと?」
身に覚えのない話に聞き返すと、イルヴィスは余計なことを言ってしまったというように目をそらした。