第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「劇的な出会いに再会……これは間違いなく運命だと思ったのにぃぃぃい!」
「あ、あの……?」
いきなり意味のわからないことをわめく青年に戸惑う。あと昨日も思ったが、彼は一つ一つの動作が大袈裟である。
イルヴィスは額に手を当て、大きく息をついてから言った。
「アリシア。この男はカイ・ルリーマ。我が国の友好国・ルリーマ王国の第二王子で、私の幼馴染みだ」
「お、王子!?」
アリシアは耳を疑い思わず繰り返す。
「まあ、こんな様子を見たのでは戸惑うのも無理はない」
「……あの、彼昨日、お腹を空かせて倒れていたんですが」
「本人から聞いた。まったく、この国で他国の王子に万が一のことがあったら国の友好関係にヒビが入りかねんぞ。……こいつは昔から人に迷惑を掛けることは人一倍得意だ」
イルヴィスはため息をつきながらガシガシと頭をかく。
幼馴染みだと言っていたし、カイの振る舞いにはどこか慣れている様子だ。
「それで、カイ殿下はどうして何やらショックを受けてらっしゃるのです?」
いまだに頭を抱えぶつぶつ言っているカイを一瞥して問うと、イルヴィスは目をそらし、気まずそうにした。